●「甘い記憶」 著者井上荒野 /江国香織ほか 新潮社 2008年8月

ボサノバ(井上荒野)/おそ夏のゆうぐれ(江國香織)/
金と銀(川上弘美)/湖の聖人(小手鞠るい)/
二度目の満月(野中柊)/寄生妹(吉川トリコ)
チョコレートを題材にした6女流作家のアンソロジー。
湖の聖人(小手鞠るい)と二度目の満月(野中柊)がナカナカ
良かったです。
・ボサノバ(井上荒野)
航(わたる)は千種とい彼女がいる大学生。
あるひ、同じマンションに住む人妻・鏡子から、ベッドに
誘われる。
その日から、鏡子から、突然呼び出され、
彼女と一緒にレンタカーに乗り、旦那の偵察に行く日々
が始まる。
車の助手席で、黙ったまま、旦那の行動を見つめる彼女。
偵察が終わると、いつものコースであるホテルへ。
ベッドは共にするが、愛されていないとわかっている航。
航は鏡子と決別する決心を固めるが…。
・おそ夏のゆうぐれ(江國香織)
志那は億劫がりな性格で、自分の生活に周りの人間を
を立ち入らせない雰囲気を持っていた。
しかし、今回出会った男は、志那の体を蝕む存在になって
しまった。
自分の持った恋愛感情にとまどう女性を語ったお話。
・金と銀(川上弘美)
暎子は、曾祖母の葬式で、はとこの治樹と出会う。
治樹は絵を書くのが好きで、絵で生計を立てたいと
考えていた。
ちょっと不思議な感覚のする治樹に子供ながらも引かれる
暎子。
治樹は暎子よりもずいぶんと年上なので、暎子が中高生の
時に、美術の教師になり、結婚も離婚もしていた。
暎子が大学生になったとき、7年ぶりに再会し、
その後、一緒にご飯を食べに行ったり、旅行に行ったりはするが、
プラトニックな良き間柄であった。
ある日、治樹は絵に対してスランプに陥り、ふらっと
海外に旅に出る事にする。
暎子は、そんな治樹に恋をしている事に気づく。
・湖の聖人(小手鞠るい)
琴子はつい最近離婚をした。
一人暮らしに戻った琴子にエアメールが届く。
送り主はかつて恋人・結城であり、彼は現在アメリカに在住している。
大学時代に知りあった二人は、世界各国いろんな場所に旅に行った。
旅先で知り合ったアメリカ人の旅人からオススメの旅先として
グアマテラのアティトラン湖を教えてもらう。
そこで、チョコレートをお供えしてお祈りすれば、「ふたりは永遠に
結ばれる」ということも。
必ず二人で行こうと約束したが、その矢先に、結城が商社に入社
が決定し、二人で長期間の旅に出かけるのは難しいと言い出す。
琴子はふたりで気の向くまま旅に出たりして、何かに縛られない
生活を続けたいと思っていた。
二人の価値観は違ったまま、グアマテラにも行けず、別れてしまう。
別々の伴侶を持ったが、互いにその結婚生活はうまくいかず…。
結城が当時の思いや、今の思いを綴ったエアメールが再び二人
の距離を縮めるのであった。
・二度目の満月(野中柊)
矢川由布子はいつもバーで、安達という男性に会う。
このバーでは、お酒と一緒にショコラを提供していて、
お酒とチョコの組み合わせは絶品で、由布子はこれまで
カクテル系のお酒しか飲まなかったが、安達からの
ススメでウイスキー+ショコラの味を知る。
由布子は安達の事が気になって入るが、バーで会う
関係以上にには踏み込めず、安達という名しかしらない。
安達も、彼女の事を矢川ということしか知らない。
ある日、このバーで一人で飲んでいるとき、バーテンダーから
ブルームーンというカクテルとともに、今月は満月が2回ある
珍しい月である事を教えてもらいう。
そして、次の満月が今度の土曜日である事を知る。
由布子は、バーテンダーから運命的な何かを感じ取り、
土曜日にこのバーを訪れる。
そこには、安達の姿が。
由布子は、思い切って「私、矢川由布子といいます。」と
自己紹介をした。。。。
オトナのカップルの恋の始まりを描いた作品。
・寄生妹(吉川トリコ)
カヤ乃は、5分前行動が当たり前、時間も食生活も規則正しい
生活を送っている。そんなカヤ乃のところへ、妹・りみ子が転がり
こんでくる。カヤ乃と正反対の性格、生活のりみ子。
カヤ乃はみみ子のやることなすことが気に入らないが、
りみ子に、しゅんとされ「ごめん、ごめんなあさい」と言われると
何も言えなくなってしまう。
ある日、カヤ乃は、りみ子が、レゲエをやっている彼氏の子を
妊娠していることを知る。
しかし、りみ子は、その彼氏と結婚するつもりはさらさらない様子。
妹の自由奔放な生き方を嫌いながらも、そんな生き方にに
なぜかあこがれる姉の話。
●「純愛小説」 著者:篠田節子 角川書店 2007年5月

篠田節子さんの作品を初めて読みます。
4編の短編集です
なかなか面白い作家さんだと思いました。また、別の作品を読んでみようっと。
・純愛小説
吉岡香織は出版社に勤める48歳。中学、高校の同級生である
柳瀬は広告代理店に勤めている腐れ縁的な存在。
そんな柳瀬が、奥さんから離婚を告げられている。
柳瀬は女受けが良く、昔から女が絶えた事はない。
もちろん、結婚後も。しかし、12年前から、浮気は一切やめ、
家庭思いの男に変わっていた。なぜに今頃になって
奥さんは離婚をするといい始めたのか?
香織は、中学の同級生の娘・藍子から、母・真由の13回忌の記念として
ローズウォーターをプレゼントされる。
ローズウォーターは、藍子の家のバラ園で栽培されたバラを使った
真由の手作りで、バラ園と作り方は母から受け継いだものであった。
香織は、今度、ローズウォーターを特集した雑誌を発行しようと
考えていて、真由のところに取材に訪れる。
そして、柳瀬のところにもローズウォーターを送った事を知る。
香織は、柳瀬の妻がこれをきっかけに離婚を言い出したのでは
ないかと察し、柳瀬妻に離婚を思いとどまるように手紙を書く。
しかし、柳瀬は離婚をしてしまう。
実は、柳瀬は、真由と不倫の関係にあった。
しかし、真由が子宮がんで亡くなってしまう。
それが12年前。そして、柳瀬が女遊びをやめたのも12年前。
柳瀬にとっては「純愛」であったが、妻にとってはその「純愛」が
耐え難いものだった。。。
お涙頂戴の感動的な恋愛物語であっても、立場が違えば、
腹立たしい内容であったりする。
今更ながら、そんな事に気づかされたストーリーでした。
・鞍馬
優子は徳之島で校長まで勤め上げ、退職後はフリースクールを開校
しようとしていたが、資金が300万円ほど足りない。
東京の実家には、姉・静子が一人で住んでいた。
静子は、結婚もせず、母の介護をし、そして、母の最期を看取り現在は
65歳になっていた。
母の遺産である、東京の屋敷と土地は、すべて静子が相続した。
優子や妹の弥生は、遺産放棄をすることで、静子の労をねぎらう
気持ちがあった。
優子は、開校資金の300万を借りるべく、静子に連絡し、上京したが、
東京の屋敷は更地となり、他の者の資産となっており、
静子の姿も消えてしまっていた。
静子はいったいどこに消えてしまったのか?そして、家、土地を売った
大金はどこへ?
・知恵熱
高広は、高尾からバスで20分くらいかかる場所にマイホームを持つ
妻、2男の普通のサラリーマン。
長男はすでに家を出ており、次男・大地も無事に大学に合格した。
大地は、大学でオーケストラに所属しており、夜は週に2回
語学学校に通っている。
通学が大変ということで、大学の近くで一人暮らしをしたいと言い始める。
妻は反対したが、社会勉強ということも兼ね、一人暮らしを許可する。
高広が仕事で遅くなった日、高尾の家に帰るのが面倒になり、大地の
アパートを訪ねる。そこで、大地の大学の先輩かつ、大地の彼女で
ある加奈子に会う。
母親には黙っておいてくれという大地。
高広は男と男の約束をするのであった。
父親の目からみた息子の成長を描いた作品。
・蜂蜜色の女神
尚美は精神科のクリニックを経営する女医。
ある日、辻井光菜子という女性が、旦那である和臣の浮気に
ついて、相談してきた。
和臣が一回りも年上の48歳の希恵(のりえ)という女性に
はまっているという。
若い女性と浮気をするというのならまだ、理解できるが、
一回りも上の女性と浮気をするというのが理解できないらしく、
旦那はどこか精神的におかしいのではないかと思っている
光菜子。
まもなく、和臣が腎炎にかかってしまい、希恵との関係は
絶たれたかに見えたが。。。。
●「ロックの母」 著者:角田光代 講談社 2007年6月

1992年から2006年、芥川賞候補作品から川端賞受賞作品までの
短編小説7編が収録された本です。
ゆうべの神様/緑の鼠の糞/爆竹夜/カノジョ/
ロック母/父のボール/イリの結婚式
角田さんの代表的な作品ばかりだと思うのですが、
私的には、どうも好きになれない作風の作品ばかりでした。
角田さんの作品はどうも当たりはずれがある様です。

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