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2009.07.10

最近読んだ本一覧90

「三十一文字のパレット」 著者:俵万智  中央公論新社 1995年4月
    

  ~楽天ブックスの商品説明から引用~
     心のポケットからそっととりだした色とりどりの歌205首。
     現代短歌鑑賞の新しい窓をひらく。

  -----

  「中央公論」に掲載されたものをまとめた本で、俵さんが毎月、
  現代短歌3首ずつチョイスをし、その歌の感想等を書かれています。

  気にいった歌を3つメモ書き。

   ---抜粋部分---
   ・この夕べ
    ふるき頁に書き込みの
    朱は父なりき創(きず)のごとしも
                (辺見じゅん)

     → 俵さんのコメントから抜粋

        (略)かつてその本を読み、何かを考え、何ごとかを
        書き込んだ父。
        おそらくは、もうこの世の人ではないのだろう。
        年月を経て同じ本をめくった娘が、肉筆の文字を発見し、
        見つめている。
        一番大切なのは、本の内容でも、書き込みの内容でも
        ない。かつて父が生き、考え、書いたという証としての
        朱の文字である。
   ----------
    この時期だから、こういう歌が身にしみるのだと思います。
    おそらくこれまでなら、さらっと読み過ごしていたでしょう。

    先日の健康診断で血液検査があり、採血をされました。
    チクっとですが、痛かったです。

    私の父は血管が細く、皮膚の表面に出ていないので、採血や
    点滴の針を刺すために、ひどい時は4,5回くらい刺されていました。
    (決して看護師さんが下手という訳ではないと思うのですが…)

    毎回、父はこんな痛い思いをしていたんだなぁ、と思うと
    とても悲しくなってきました。

    こういう、ふとした日常で父を思い出すことがあります。
    当面は続くのでしょう。
  

   ---抜粋部分---
   ・まはされてみづからまはりゐる独楽(こま)の一心澄みて音を発せり
                               (馬場あき子)
  
     → 俵さんのコメント

        ~ (略)「まはされてみづからまはりゐる」と言われてみて
        はじめて、なるほどそうだな、と思う。(略)
        考えてみれば、人間もそうである。自分の意志でこの世に
        生まれてきたわけではないけれど、生まれてのちは自分で
        生きていくしかない。
        いつかは回転が止まる独楽と同じように、いつかは死を迎
        えるとわかっていながら、一生懸命自分の人生をまわりつ
        づけるのである。~
   ----------
    これもおそらくこれまでなら、さらっと読み過ごしていた歌だと
    思います。作者の観点のするどさが、すばらしいと思います。


   ---抜粋部分---
   ・トレーラーに千個の南京(カボチャ)と妻を積み
                     霧に濡れつつ野をもどりきぬ
                               (時田則夫)
   ----------
    なんて、平和でほのぼのとしたとてもイイ歌だと思います。
    夫の妻への愛情が感じられました。

 
 


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